最強対談:沼正三 VS 団鬼六(STUDIO VOICE Vol.267 MARCH 1998より)

最強対談:沼正三 VS 団鬼六(STUDIO VOICE Vol.267 MARCH 1998より)

最強対談:沼正三 VS 団鬼六 スーパーバイザー・沼正三全権プロデューサー / 康芳夫・・・7

最強対談:沼正三 VS 団鬼六 スーパーバイザー・沼正三全権プロデューサー / 康芳夫

---沼さんは私生活のご夫婦でもSとMの関係なんですか。

沼 いや、それはね、薄々、それはM的傾向はあるということはね、知ってますよ。時々そういう雑誌を送ってくるでしょ、だから見ないようにしてますね、彼女が。そして僕の書いたものを読もうともしないし、だからそこまでね、今ここで喋ったようなことをまさかそこまでとは思ってません。ただねえ、男女のセッ◯スというものがなく成立してる夫婦というのは、少ないだろうと思いますけどね。端から見たら仲のいい夫婦だと見えるでしょう。

康 Mの男性でその奥さんは、奥さんに例えば浮気を勧めてですね、隣の部屋でそれを被虐的に見てるというケース、そういう小説ありますよね。

沼 『鍵』なんかそうですね。あれはやっぱりM的ですね。トリオリズムっていうんですけどね、三角関係と違うところはどうでしょうか。

団 それは『美少年』の中に書いてあるよ、あれはほんとの話で。俺の女房はこれかと思った。イヤーッイヤーッってあんな声出したことないよ、俺の場合。俺は15分か20分で終わるでしょ、四時間やってるの。自分でどういう気持ちなのかなと思って。

---すごく怒りの気持ちがあるんですけど、でも勃◯もするという。

団 ◯起しますよ、あれ。うん。

---ですよね。先生の奥様は間男に対してはMだったんですけど、先生に対してはそうではなかったんですね。

団 あれ書いたら怒りやがって。女房に調べられたの、団鬼六ってあなたですかって。びっくりしたなあ。隠してたの、ずっと。そうだって言ったら、「いやらしいこと書くわねえ」って、怒ってましたよ。それはまあ女房に対する復讐で書いたんですよ。あれは。

沼 団さんはね、SMってことは離れて、小説の名手ですよ。『小説クラブ』とか雑誌によくお書きになってるの、感心して上手いなあと思って。

団 だから僕は大衆的なんですよ。沼さんは文学的ですよね、文芸ものと大衆小説の差だと思いますよね。だから知らない人がだんだんわかってきてるような感じがしますね、彼が功罪があるかどうかわかりませんけどね。こういうふうに、沼さんがもうちょっとくだけてですね、一般雑誌に自分の体験とか書くと、びっくりしますよ、それだけでも一般は。ちょっと特殊なものになるとマニアしかわからないからね。

康 団さんも変態小説っていうレッテルを貼られてたわけですよね。

団 うん。

康 でも変質者文学とか変態小説っていうものは文化的概念にすぎませんからね。ノーマルとアブノーマルの境界を設けること自体が本来は全然文化的な規制にすぎないわけですよ。

沼 そりゃね、谷崎さんだって泉鏡花だって色々探せば、遠藤周作だって、「奇譚クラブ」に載せてもいいような小説を書いてるわけですよ。

康 今まさに沼さんがおっしゃったように例えば谷崎文学、遠藤文学、これは変質者の文学ですよ。そういう見方をする評論家って殆どいないでしょ。あれは「勝手口から覗いた文化人」でしたっけ?

・・・次回更新に続く

---

Modern Freaks Inc. Presents『家畜人ヤプー倶楽部』 vol.3 Executive Producer 康芳夫

詳細は Modern Freaks Inc. Presents『家畜人ヤプー倶楽部』 vol.3 Executive Producer 康芳夫

---