再びボクシング業界からの妨害

虚業家宣言:康芳夫

さて、私のフィクショナル・ビジネスも最後の詰めの段階に入った。

いよいよ、金集め、スポンサー探しをやらなくてはならない。四十五日以内にクレイのファイト・マネー四十万ドル、フォスターの分五万ドル、その他雑費を含めて、約六十万ドルの金を用意しなくてはならないのだ。とにかくクレイに関しては、九月二十五日までに十万ドルか、または、試合日の二週間前までに四十万ドルのレター・オブ・クレジット(これは銀行が、各地の支店や取引銀行にその持参人に一定の限度内で金額の支払いを委託した証明書)をハーバートが指定した銀行に預託するという一項が契約書に入っている。

無一文に近い私が、約二億円の金を集めなくてはならない。ある人々にとっては気の遠くなるような額だろう。だが、私は自信満々だ。二億円が十億円でも、私は集めることができる。

ところが、意外なところから邪魔が入ってきた。日本ボクシング・コミッショナーと、『日本ボクシング協会』が否定声明を発表したのである。理由は前とまったく同じ。私にライセンスがないことと、外国人同士の試合は認められないというものである。

『日本ボクシング・コミッション』の菊池事務局長はこう言った。

「ボクシングの興行を日本で開けるのは『日本ボクシング・コミッション』のライセンスを持ったプロモーターに限られている。それに外国人同土の対戦は認められない。なんでもやればできると考えてもらっては困る。コミッションと業界が、一丸となって、こうしたルール無視の興行を拒否する」

そして新聞はいっせいに書き立てた。

《実現とても無理》

《主催者の資格に問題》

《興行的にもあぶない橋》

私にすれば、すでに前回のときに両方のOKをとっていたから、今回は当然、両組織ともバックアップしてくれないまでも、妨害するなどとは考えてもいなかった。

結局、後になって、この二つは難なく解決することになる。要するにコミッショナーも協会も、私からもう一度甘い汁を吸おう、つまり、私からもう一度金をとろうという魂胆だったのだ。実に汚ないやり方だった。詳しいことは別項で書くが、私はここで一言ぜひ書いておきたいことがある。

それは新聞の態度についてである。

記者諸君は、私が前回、すでに、コミショナー、協会の両方からOKを取っていたことは知っていたはずだ。あのときも両方は最初強硬に反対しながら、すぐに折れた。これは私が金を払ったからだが、そのことは百も承知していたはずだ。

だから、ごく単純に考えたって、今度の反対はおかしい。何かタメにするための反対だということぐらい判断がつきそうなものではないか。

にもかかわらず、コミッショナー、協会の言うままに《クレイ戦の実現はむつかしい》などと書く。もう少し自分自身の判断力を持ってほしいものだ。

結果的に、このことは私の資金集めにマイナスになった。

・・・・・・次号更新【右翼、暴力団の援助を拒否】に続く

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『虚実皮膜の狭間=ネットの世界で「康芳夫」ノールール(Free!)』真の虚業家の使命は何よりも時代に風穴を開け、閉塞的状況を束の間でもひっくり返して見せることである。「国際暗黒プロデューサー」、「神をも呼ぶ男」、「虚業家」といった呼び名すら弄ぶ”怪人”『康芳夫』発行メールマガジン。・・・配信内容:『康芳夫の仕掛けごと(裏と表),他の追従を許さない社会時評、人生相談、人生論などを展開,そして・・・』・・・小生 ほえまくっているが狂犬ではないので御心配なく 。

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