虚業家宣言:康芳夫

『石油に挑む』(2)

アメリカにおける回教徒の代表として、アラブ諸国首脳に対するエリジャー・モハメドの影響力は想像もつかぬほど大きい。直接アラビアンガルフにつながっているといってもいいほどだ。クレイ戦実現のためエリジャーに接近、ついには、「同じカラードじゃないか。われわれはソウル・ブラザーズだ」と言わせたことが、今、非常に大きな価値を持ってきたわけだ。

クレイ自身も世界青年回教徒会議の名誉議長である。今年三月、クレイがアラブ諸国を訪問したのも、実は、このことに関係があるのである。エリジャー・モハメドと私との交換条件の一つには、シカゴにブラック・モスレムのユニバーシティを建設するのを援助するということが含まれている。

なぜ、私が石油などという畑違いとも思えるものに手を伸ばすか。それは、石油を掘り当てるということが、メジャーは別として、日本などの石油後発国では九十九パーセント不可能、ビジネスとして考えた場合、これほど分の悪いものはないとされているからである。

・・・・・・次号更新【エピローグ:『石油に挑む』(3)】に続く

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