大映京都撮影所:勝新太郎、モハメッド・アリ、康芳夫

『あとがき』(2)

私は神さんのところに入って”虚業”の魅力にとりつかれた。クレイ、トム・ジョーンズ、ネッシー・私は”虚”を”実”に転化させながら、多くの人々の目を、これらに向けさせた。

ほんの狭い空間、ほんの短い時間だったかもしれないが、私は彼らを酔わせ、ある意味では支配してきたつもりだ。”純粋権力”、それが”虚業”の魅力だった。

この本で、私は、しばしの間でも読者諸君を酔わせることができたと自負している。

唯一つ、お詫びしなければならないのは、この本で私が、自分のプライベート・ライフおよび資金源について、極力書くのを避けたことである。私は種々の事情により事務所の者にさえ、私のプライベートな住所、電話番号などを教えないようにしているくらいだ。だからその点だけはご容赦いただきたい。

だが、結局、私にとって、過去を振り返るのは性に合わなかったようだ。

今後、私は終章で書いたようなことを次々とやり遂げていくつもりである。そのときに、その場で、私はもう一度、読者諸君にお目にかかりたいと思っている。読者としてではなく、今度は観客、聴衆として・・・・・・。

最後に、この本の出版に当たってお世話になった双葉社の塩沢実信、松田英男、吉川紀彦、各氏に厚くお礼を申し上げたい。

昭和四十九年四月

康 芳夫

・・・・・・虚業家宣言 康芳夫 虚業家宣言 クレイをKOした毛沢東商法:了

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