狂乱のステージ(3)

トム・ジョーンズ来日の記者会見

トム・ジョーンズ来日の記者会見

ガードマンの制止も聞かばこそ、スカートのまくれ上がるのも気にせずに舞台上に十五、六人の女性が上がりこみ、トムめがけて突進。そこで、また、

「プリーズ・キス・ミー」

いちいち応えるトム。

今までの日本に、これほど客席に興奮を呼んだショーがあっただろうか。

グループサウンズで熱狂したのはまだ年端もいかぬ高校生、中学生だった。トムの場合には、品の良い着物姿の中年の婦人たちまでが、キスを求めて群がり寄ってくるのである。慎み深い大和撫子などというイメージは一夜で吹っ飛んでしまった。

私は女性客たちに混って客席からトムの舞台を見つめていた。女性たちの興奮がヒシヒシと肌に伝ってくる。常に冷静なことを誇りにしている私が、いつの間にか、手をギュッと握りしめていることに気づいたのは、トムが、歌い終わって舞台の袖に引っ込んでしばらくしてからであった。

そして、それに気づいたとき、私は、

「勝った。とうとうやった」

思わず叫んでいたらしい。

私は、また、日本で初めての仕事をやり遂げたのだ。

・・・・・・次号更新【音楽界へ乗り出す】に続く

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『虚実皮膜の狭間=ネットの世界で「康芳夫」ノールール(Free!)』真の虚業家の使命は何よりも時代に風穴を開け、閉塞的状況を束の間でもひっくり返して見せることである。「国際暗黒プロデューサー」、「神をも呼ぶ男」、「虚業家」といった呼び名すら弄ぶ”怪人”『康芳夫』発行メールマガジン。・・・配信内容:『康芳夫の仕掛けごと(裏と表),他の追従を許さない社会時評、人生相談、人生論などを展開,そして・・・』・・・小生 ほえまくっているが狂犬ではないので御心配なく 。

2017.04.14発行 NO:0055 より

◆拝啓 トランプ大統領殿

ワイマール憲法下、ヒトラーを総裁に選んだのは一体誰か。ドイツ国民以外の何者でもない。ナチスドイツ崩壊の最終責任の一端は熱狂的にヒトラーを支持したドイツ国民にある。同様に日本軍国主義を熱狂的に支持した日本国民も太平洋戦争敗北責任の一端を背負った。

同様にトランプを大統領に選んだのは他ならぬアメリカ国民だ。オッサンが、北朝鮮攻撃をおっぱじめて、第三次世界大戦ということになれば、その共同責任はアメリカ国民は勿論、アメリカ外部のトランプサポーターにもあることはあまりにも明白。それにしても人気急落中のトランプオジサン。

どんずまりのあげくの強行策が、シリア空爆とはなかなかやるという人もいるが、一方では目茶苦茶な話だ。然し、アメリカ史上始めてのデイラー大統領の出現は、いい意味でも悪い意味でも大サスペンスではあるね。

さすがNY不動産屋らしい上玉デイラー。オッサンにはアメリカ大統領としてのいわゆる「理想」とか「思想」のひとかけらもないといえばそれまで。要するにその場かぎりの典型的なディラー。

シリア空爆で腰抜かしたのは先ずはプーチン大統領、北朝鮮のガキ将軍。そして「仲介者」を自任する中国政府、そして「人道上」同意せざるを得なかったEU諸国。我が安部総理もさっそく同意していたが、北朝鮮とドンパチ始まったらまっさきに狙われるよ。

人気急下落で追いつめられたトランプが放った必殺の一打はポールのかなたに消えた大ファウルか大ホームランか。世界中がかたずをのんで見守っている。

要するに彼のパフォーマンスはすべて「ディール」なのだ。然し、その事は彼が一方で徹底した現実主義者であるということ。故に最終的には世間が心配するほどのこともないかも。

この先何をやらかすかまったく予測がたたないのが現実だ。このままいくとニッチもサッチも行かなくなって、ニクソンの二の舞になる可能性も大ありだ。アメリカ国民もそんなに甘くないよ。

それにしても貴公まさか大統領になるとは小生夢想だにしなかったね。貴公約四十年前パンクして食いつぶし、NY紅花のロッキー青木の顧問になり、たまたま小生も紅花の顧問だったので当時全盛をきわめた紅花Park Ave 店でよくトランプ、ロッキー青木と小生会食した覚えあるよ。云ってみれば昔のダチ公ということだ。

貴公今多忙をきわめている様だが、一度昔のよしみでサシでお会いし一杯飲みましょう。

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