『滅亡のシナリオ』:プロデュース(康芳夫)

プロデュース(康芳夫)
ノストラダムス(原作)
ヒトラー(演出)
川尻徹(著)精神科医 川尻徹

思いがけないニュース---「遺体は影武者だった」(2)

夏が終わり、九月になって、中田は偶然、毎日新聞の海外欄の片隅に思いがけない記事を発見した。

滅亡のシナリオ:思いがけないニュース---「遺体は影武者だった」

---

[ロンドン 九月ニニ日AFP時事](八四年九月二四日付)

ベルリンの地下室でソ連兵士によって発見されたヒトラーとみられる遺体は”影武者”のものである可能性が大きい---。

米コネチカット大学の歯科教授レスター・ランツ博士は二一日、英国のオックスフォードで開かれた国際法医学会でこう報告した。

同博士によると、ソ連は、ヒトラーの歯医者の証言に基づいて発見された遺体をヒトラーと確認したが、遺体の歯がヒトラーのそれかどうかの決め手となる治療カルテは、一九四五年当時もその後も発見されていないという。ソ連の検視記録によると、遺体の死因は青酸系の毒物となっているが、一八年間ヒトラーの死について研究している同博士は、「私はヒトラーは銃で自殺したと信じている」と述べた。

これらのことから同博士は、遺体をソ連の手に渡すなというヒトラーの生前の指示に従って、ヒトラーの部下が本物の遺体を運び去ったと結論づけている。

---

さらに中田を驚かせたのは、その記事の直後に、次の死亡記事が掲載されていたことだ。

---

ライダー・ソグネーズ博士(ヒトラー総統の死体を確認した歯科医)

九月二二日・米カリフォルニア州ロスアンゼルス郊外のサウザンドオークスで死去、七二歳。死因は心臓発作とみられる。

博士は五一年ハーバード大学の歯科教授に任命された。ヒトラーや総統秘書ボルマンの死体を確認したことで知られるが、これに関しては一部で疑義が出ている(AFP時事)。

---

・・・・・・・・・次号更新【ナチ高官のカルテが一枚も残されていない!】に続く