『滅亡のシナリオ』:プロデュース(康芳夫)

プロデュース(康芳夫)
ノストラダムス(原作)
ヒトラー(演出)
川尻徹(著)精神科医 川尻徹

三人の独裁者」ではない、もう一つの解釈(2)

「ゲッベルスが神の御使いの立場にあるとすると、魔術の書は焼かれねばならないわけですね」

「そうだ、そして、この予言はヒトラーのダブルの存在も明らかにしている。”若きネロ”がゲッベルスだとすると、老いたネロは誰かということになる。一九三三年というと、ダブル操作が始まって間もなくの時期だ。後に、もう一人のダブルが加えられて、ゲッベルスと二人のダブルが”血の三人”として歴史の中で”みずからを死に追いやった”わけだ。これで、この予言は成就したことになる」

「うーん」

言葉のひとつひとつに象徴的な意味をちりばめているため、ノストラダムスの予言詩は難解なものが多い。この詩も、多くの研究家は、三人の独裁者が出現するという意味に解釈している。

しかし、川尻博士のように、実体ヒトラーとダブルを想定すると、いとも易々と予言が解けていくではないか。

中田は舌を巻いた。

・・・・・・・・・次号更新【”私はα(アルファ)でありω(オメガ)である”に隠された意味】に続く