『滅亡のシナリオ』:プロデュース(康芳夫)

プロデュース(康芳夫)
ノストラダムス(原作)
ヒトラー(演出)
川尻徹(著)精神科医 川尻徹

ソ連侵攻は予言どおり「かに座」の日に開始された(2)

中田は手帖を出して、かに座を調べた。かに座は六月二二日から七月二二日までだ。

「ドイツのソ連侵攻は一九四年の六月二二日・・・・・・。かに座に入った、まさにその日ですね!」

「そうだ。なぜその日まで攻撃開始を延ばしていたか。実はノストラダムスの予言に合わせるためだったのだよ。そして、両軍はスターリングラード包囲戦などの凄絶な戦闘を繰り広げた末、ついにドイツの敗北に終わったことは知ってのとおりだ。”悲惨な戦い”という予言は的中したではないか」

「”王位の杖”とは、どういう意味ですか」

「これはローマ法王を指すといわれている。つまり軍隊の神=フューラーが、バチカンと組んで、共産主義に打撃を与えるために戦争を行なった−−−という意味にとれる。実際、バチカンとナチスの関係は協約を締結して、第二次世界大戦中きわめて親密だったことはよく知られている。

・・・・・・・・・次号更新【ソ連侵攻は予言どおり「かに座」の日に開始された(3)】に続く