『滅亡のシナリオ』:プロデュース(康芳夫)

プロデュース(康芳夫)
ノストラダムス(原作)
ヒトラー(演出)
川尻徹(著)精神科医 川尻徹

ヒトラーの”最終軍団(ラスト・バタリオン)”は実在した!(2)

近代の政治家の中で、ヒトラーほど宣伝を重視した者はいない。そのために宣伝省という巨大なプロパガンダ・マシンを作り、ゲッベルスに強大な権力を与えて指揮させた。ナチ党幹部の中で、ゲッベルスくらい謎と魅力に満ちた存在はないと言われる。今、川尻博士の言葉を聞いて、中田はようやくその理由が呑みこめてきた。

「そうだ。しかし、ノストラダムスの予言どおりにことを起こす−−−という役目のほかに、実体ヒトラーとゲッベルスには、重要な任務があった」

「それは何ですか」

「ドイツは壊滅する。しかし、その前に、第四帝国の要員を選別し、組織し、地下に隠し、新たな世界に送り出してやる−−−という仕事だ」

「そ、それでは、秘かに囁かれていたラスト・バタリオン−−−ヒトラーの最終軍団というのは、実在したのですか?」

中川は思わず身を乗りだした。

・・・・・・・・・次号更新【消息を断った一六五隻のUボートと多数の兵士】に続く