この世の妙味は虚実皮膜の間:毎日新聞(2009年10月24日)より抜粋

この世の妙味は虚実皮膜の間:毎日新聞(2009年10月24日)

興行の世界に入ったのは半世紀近く前、東大在学中に知己となった石原氏が取り持った縁だった

虚人の錬金術

ところで虚業商売は何も発想だけが非常識であるのではない。実行の段階においてもきわめて「非常識な力」を要求される。

たとえば、資金繰り一つとってもそうだ。虚業商売という博打稼業に銀行はなかなかお金を貸してはくれない。ボリショイ・サーカスのときは公演がひじょうに儲かった上、公演自体も定期化していたので、初めのうちは銀行も融資をしてくれたが、そのうち情勢が変わって途中で打ち切られてしまった。

銀行から借りれないとなると、今度はお金を持っている人間のところに頭を下げにいかなくてはならない。必要な資金のボリュームというのはたいがいどの企画も町金融レベルから借りてまかなえるようなものではない。

だから借りに出向く個人というのは大物相場師からオーナー企業家、地方の素封家といった相当なお金持ちばかりである。中にはPL教団の御木徳近師のような宗教家もいる。

・・・以上、虚人のすすめ―無秩序(カオス)を生き抜け (集英社新書)より抜粋

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康芳夫が唯一オーラを感じた大物人物とは?

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