虎と空手武道家の死闘ショー:東京中日スポーツ(昭和52年1月6日)より抜粋

虎と空手武道家の死闘ショー(6):最強の空手家 VS. トラ

丸太のような腕で私の手を思いきり握った、彼と別れた私の気持ちは晴れやかだった。ようやく、もやもやしたものが晴れそうだ。しかし、そう安穏とはしていられない。次に私にはやるべき仕事があった。「最強の空手家 VS. トラ」の会場をどこに設定するか、という問題だ。しかしながら、それまでのネッシーやオリバー君、アミン VS. 猪木などの企画よりも、この計画はシンプルだ。実現さえできれば、何の仕掛けも必要ないだろう。空手家とトラの真剣勝負、というだけで世界から注目されるのはまちがいないのだ。

案の定、この計画を大々的に記者発表したとたん、日本では東映がドキュメンタリー映画として制作したい、と申しいれてきた。山元守に密着取材し、世紀の対決までを追いかけていきたい、というのだ。むろん私は高額の条件で合意し、東映と契約した。

・・・虎と空手武道家の死闘ショー:続く

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虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より

マスコミの連中から毎回、同じ質問を浴びせられるのだ。
「何でこんなことするんですか?」と。

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