プロデュース(康芳夫)
ノストラダムス(原作)
ヒトラー(演出)
川尻徹(著) 精神科医 川尻徹
滅亡のシナリオ(3)
いまも着々と進む1999年への道
これが、”麻原オウム”幹部必読の教科書だ!
1章 いま明かされる”ノストラダムス計画”
---第二次世界大戦は”ヒトラーの第四帝国”建設への布石だった!
◆奇妙な組合わせ---ヒトラーとノストラダムス
序文を紹介してみよう。
”これはある精神科医の随想として、思いつくままに、とりとめのない読書の中から得た資料をまとめ、書きしるしたものである。
特に出版を意識したものでもなく、また読者に対してこの推理、推測を理解してもらうといった意図もなかった。まとめつつ、考えを記述するに従って現われてくる結果に、ジャーナリストの立場とは異なった事実が表象化されるのであるならば、これは精神神経学的立場からの接近という手段方法と関連があることとなる。この特殊な接近方法がなくては、この随想は成立しないことになろう・・・・・・”
さらに、こうも述べられている。
”この随想は、おそらくは単なる随想のメモとして残ることはあっても、時が至り、多くの人に理解されることはあるまい”
どうやら口述によったものらしい文章を読んで、中田は不思議な印象を受けた。
(これは、医者というより、予言者の言葉みたいだな・・・・・・)
内容は、著者が「多くの人に理解されることはあるまい」と断わっているとおり、難解を極めたものだった。
冒頭、「初めに言(ことば)があった。言は神とともにあった」という、『新約聖書』の『ヨハネによる福音書』第一章第一節の有名な章句が引用されてから、突然、あるジャーナリストのレポートに掲載されていたという、七〇歳前後の女性の写真について、医学的所見を主とした博士の感想が記されていた。それからいきなり、ロンメル将軍が一九四四年七月一七日、ヨーロッパ戦線視察中に、イギリス軍戦闘機によって銃撃され、負傷した出来事についての詳細な説明と医学的解釈が続く。さらに、彼の服毒自殺について同様な記述。そして、ようやくヒトラーの死と遺体をめぐる謎についての考察が始まる・・・・・・。
数ページごとに、数字とアルファベットがギッシリ書きこまれた表が添付されていた。どうやら秘数学(ヌメロロジー=文章に秘匿(ひとく)された意味を、数字で解読する学問)の計算らしいが、門外漢の中田にはチンプンカンプンである。まさに思いつくままに書きすすめたという文章は、断片的な事実、知識、引用、推測を脈絡(みゃくらく)なく積み重ねていくので、それはまるで、どこへ辿りつくのか分からない迷路をさ迷うのに似ていた。
とにかく最後まで読んでおぼろげながら理解できたことは、この”随想”の著者である精神科医は、ヒトラーの生涯における謎めいた行動を、聖書やノストラダムスの予言と関連づけようとしているらしい---ということだった。
「うーむ・・・・・・」
中田は唸(うな)り、腕組みした。
(ノストラダムスとヒトラーか。こいつは、とてつもない発見かもしれないそ・・・・・・)
・・・・・・・・・次号更新【「一九九九年、恐怖の大王」の正体を求めて】に続く