虚業商法十カ条:第二条『他人の金を使え』
日本人は金に関して実に気が小さい。元手になる金がなくては何もできないと思っているのも、その現われだ。
『成功する法』、『金儲けのヒケツ』などという本を読んでみると、その第一章には必ず、「まず百万円貯めよ」などということが書いてある。百万円貯めた後で、それを元手に何かをやれというのである。
冗談じゃない。たとえ百万円貯めたとしても、それでできることなんて、タカが知れてる。
私は、日本で初めてという大きな仕事をすでにいくつかやってきたし、最後の章で明らかにするが、今後も世界的な”虚業”をどんどんやっていく予定である。
資金? 今のところゼロだ。これまで書いてきたように、私はとんと金には縁のない人間だ。貯めるという観念が私にはゼロに等しい。実際、私は銀行預金はゼロだし、財産と呼べるほどのものはない。
それでは、どうするのか、と聞かれるかもしれない。
借りればいいのである。といって銀行から借りられるわけがない。銀行は金のある者には喜んで金を貸すが、ないものに対しては実に冷たいものだ。だが、金というものはこの世の中で常に動いている。止まっていては経済が動かない。だから、その金の動きに自分を合わせて、うまく乗っていけばいいのである。この世の中には金を持っている者はたくさんいる。ホラをブチ上げて、そういう連中に出させればいいのだ。
十五世紀の大航海時代、アメリカ大陸を発見したコロンブスや、スエズ運河を完成したレセップスが金を持っていただろうか。むしろ、彼らは無一物に近かった。
レセップスはスエズに運河を掘るという、それこそ当時としては破天荒な”大ボラ”を吹くことで、とうとうオランダ女王から金を引き出すことに成功した。各国の王や貴族に断わられ、オランダ女王が初めて会ってくれたとき、だから、レセップスは叫んだという。
「これで運河は半分できた!」
この精神こそ”虚業”の精神なのだ。
ポルトガル人・コロンブスがアメリカを発見できたのも、スペインのイサベラ女王の資金的バックアップがあったからで、それはコロンブスの六年がかりの説得によるものだった。もしコロンブスが、六年がかりで銀行貯金をしていたとしたら、ついに一隻の船も買えず、アメリカ大陸は発見されなかったかもしれない。
もっと身近な例でいうなら『プレイボーイ』帝国のヒュー・ヘフナー、彼は二十七歳で雑誌『プレイボーイ』を創刊したとき、無一文に近かった。あちこちから借り集めた七千ドルを元に、彼は、今の巨大な帝国を作り上げたのである。
要するに、必要なのは金ではなく、何をやるかということなのだ。それが決まれば金はおのずから集まってくるのである。『他人の金を使え』、これは”虚業”の商法というより、すでに今日の商売のルールなのである。
・・・・・・次号更新【虚業商法十カ条:第三条】に続く
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