奇書「家畜人ヤプー」覆面作家はどちら?・・・読売新聞(昭和57年(1982年)10月2日)

康芳夫、沼正三(『家畜人ヤプー』原作者)を語る(6)

出演者が「陰部」を丸出しにして、それが週刊誌とかに出て、オレもパクられそうになったり、そういう低俗なかたちでのプロモーションには沼さんは必ずしも賛成ではなかった。でもその時は澁澤龍彦や土方巽も来たし、唐十郎もいた。今ではすごい連中がみんな来て、超満員でね。

沼さんのことも最後は色々わかっちゃったけど、あとはそれに関連して、例えば倉田卓次さんが「本当の作者じゃないか」っていつも言われている。

この人は当時東京高裁の判事で、最高裁の判事に内定してた。でもこの事件で彼の名前がマスコミに出ちゃったために彼は辞退して、それでも一貫して、「私はまったく関係ありません」ってことを仰ってるわけ。ただ、全然無関係ではないってことを、僕が文芸誌『新潮』(2009年2月号)で初めて明らかにしたわけですね。

色んな語学的な問題とか含めて、そういう同好者仲間、SM 愛好者ですよ。彼等の横の繋がりには、たいへんな生物学者とかお医者さんとかがいて、それは僕が名前を明らかにしないだけで、彼等が色んな知識を授けたってことはもちろんある。いわゆるコラボレーションということで、三島の小説だって色んな人が協力してるけど、共作とは言わないでしょ。

・・・『虚人と巨人 国際暗黒プロデューサー 康芳夫と各界の巨人たちの饗宴』より抜粋

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