作家 天野哲夫さん 11月30日 肺炎のため82歳で死去(夕刊フジ(2008年(平成20年)12月13日)

康芳夫、沼正三(『家畜人ヤプー』原作者)を語る(7)

白人対イエロースキンの問題は永遠に残ってるわけだけど、それを真っ向からSM の世界に託してえぐったということと、もう一つは、異常な性的趣向としてのマゾの世界ね。あとはSF 超大作でもあるし、あまりにもストーリーの展開が奇想天外でしょう。そういう意味において、色褪せずにずっと読み継がれているわけ。

最終的に幻冬舎から出して15年経つけど、全然宣伝もしないで、年間1万5千とかその程度だけど確実に売れ続けてる。さすがに幻冬舎の見城君も腰抜かしてるよ。

現在、仏訳と台湾で中国語訳が出て6年ぐらい。英語版はニューヨークの出版社がパンクしたので、別のところと交渉中。翻訳が進んでいるのはロシアとイタリア語版です。

映画化は、お金の問題があるしね。長谷川和彦君は「非常にやりたい」って言ってるんだけど、今は彼とはディスコミュニケーションの状態。長谷川君だけ考えてるわけじゃないけど、やらせてみたいと思ってる。デビッド・リンチとかね、彼もやりたいって言ってるからいいかもしれないけど、そういうことも含めて、まずはお金ができてからの話。キューブリックからもエージェントを介して話があったけど、そのうち彼死んじゃったから。

・・・『虚人と巨人 国際暗黒プロデューサー 康芳夫と各界の巨人たちの饗宴』より抜粋

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