ニューヨ―ク・タイムズ:康芳夫

THE NEW YORK TIMES
“You cannot,”says the author,”make a place for yourself in the monster-hunting world without at least one sighting of Nessie,preferably accompanied by photo-graphs taken with the wrong film in bad light.”At top,a Japanese diver in Loch Ness.Ahove,Yoshio Kou beside the lake.At right,a 1961″photograph.”

ロマンが投影された謎の生き物

スコットランド北部にあるイギリス最大の淡水湖、ネス湖のネッシーは、その数々の目撃談や写真から、恐竜時代に栄えた首長竜の生き残りではないかと言われている。太古に絶滅した大型の恐竜が生存しているとすれば、これはとほうもなくロマンを掻き立てられる衝撃的なことである。

私がネッシーの探索活動の発表を行ったときは、世界中のマスコミの話題をさらった。ロンドンで行った記者会見には、AP、ロイター、NBC、「ニューズ・ウィーク」「タイム」「ニューヨーク・タイムズ」「パリ・マッチ」「プレイボーイ」などの世界中のそうそうたるマスコミ各社がすべて来ていた。まだ共産主義国家であったソ連からは「プラウダ」も顔を見せていた。来ていなかったのは「人民日報」くらいであろう。

結局、ネッシー探索隊は約1年間、ネス湖を探索して、ネッシーを見つけることができなかった。

めぼしい成果を上げられなかったが、そのとき、不思議なことに私はむしろ何か大きなものをつかんだという満足感で充たされていたのである。

深いところから突き上げてくるロマンの衝動。それが私をネッシー探索までに駆り立てたわけだが、ネッシーは見つからなくても、いや見つからなかったからこそむしろ、そのロマンは永遠の命を得たのではないだろうか。