猪木・アリ戦(2):世紀の凡戦に無念の思い・・・1
しかし、この試合はテレビの視聴率五四・九パーセントと驚異的だったが、前評判をみごとに裏切り「世紀の凡戦」「最悪の試合」として、マスコミからのさんざんな悪評を浴びることになる。興行的にも大赤字をこうむることになってしまった。
リング上での直接のファイトはほとんどなく、終始マットにあおむけになってアリの足を蹴る、という猪木の戦法はブーイングの嵐に見舞われた。アリもこの猪木のまわりを回っているだけで、パンチも数発しか繰りだせない。最後は判定の引き分けで、世界一のボクサー、モハメッド・アリと日本を代表するプロレスラー、アントニオ猪木の壮絶な死闘を期待したファンをおおいに失望させる結果となってしまったのだ。
この試合を裏から支えた私も、この失敗は残念だった。しかし、私はこの失敗はアントニオ猪木のあまりに純粋なプロレスの「権威」を確立しようというきわめて真摯な思いから生まれたことで、ある意味、興行的には失敗だったが十分に意義ある試合だった、といまでも確信しているのだ。
・・・猪木・アリ戦:続く