都市出版社版『家畜人ヤプー』(1970年発行)

日本神話を脱構築する:畜権神授説・沼正三『家畜人ヤプー』と日本神話の脱構築:巽孝之・・・その13

さて、はたして日本人を家畜化したのがヤプーなのか、それともヤプーはほんらい日本人の先祖なのか。ここに、『家畜人ヤプー』というテクスト最大のタイム・パラドックスが開陳されるが、麟一郎を悩ませてやまないこの問いかけに対して、著者が以下のように洒脱きわまる注解を与えているのは傾聴に値する。「・・・・・・それはあたかも、鶏が進化論上”爬虫類の子孫”であると同時に発生論的には”鶏が先か卵が先か”という逆説が人を悩ましうるのに似ている。”ヤプーは類人猿の一種である”が、歴史学的には”ヤプーは日本人の子孫であると同時に先祖でもある”といえるのである」(同、五七四頁)。

・・・畜権神授説・沼正三『家畜人ヤプー』と日本神話の脱構築:巽孝之 より・・・続く

−−−

そう三島さんは、熱を込めてヤプーの内容を語りつづけた。三島さんが、あれほど真剣に文学のことを語るのを聞いたのは、それが最後になってしまうのである。 #三島由紀夫 #家畜人ヤプー 全権代理人 #康芳夫

三島由紀夫が発見した『ヤプー』

−−−