『血と薔薇』1969.No4

「家畜人ヤプー完結版(ミリオン出版)」より---沼正三・・・9

初めて手に取る人のためのアドバイスまでは書かずもがなだったかも知れない。初版本や角川文庫本による正編の読者で、この続編を読む気になった不健全な諸君---本当の読者として予想するのはそういう人だけなのだが---その方々のため一言しておきたい。実は、文庫版以後、今回の続編以前に、やはり角川書店から、続編の中の三章分(第二九章ないし第三一章)を併せ、前田宗男氏の解説(幻冬舎”アウトロー文庫第二巻所収)を収めて、豪華本が出たことがある。その時多少の加筆をし、本続編はそれを前提にしているので、此処で摘記しておく。

一、イース白人の平均寿命は二百歳。身長は男女とも百七十五センチないし百八十センチが多いとした(第二◯章7)。

二、イース白人女性は十八歳開経、の百八十歳閉経。初潮が遅くなった代わりに、身長が男性と同じにまで伸びるのだとした(同)。

三、イース人の足趾が四本となっていた(四趾足)のを、五本あるが小趾には爪がない(四趾爪)と改めた(第一四章4)。

四、標準型肉便器(スタンダード・セツチン)への実習授業の場面(第七章3)及び水晶宮での第一夜が明けた朝、クララが浴室で麟一郎と顔の似た侏儒型肉便器を使う場面を加えた(第一八章1)。

五、飛行島の直径六十キロを百キロと改めた(第二五章1)。

次に、右の豪華本に収めた三章分についても、

六、フジヤマ・ヤプーナリーのコノハナとサロメとが別々の人物になっているのを、本続編では、コノハナがマスクを被るとサロメになる、つまり双子の一方が縮小されて他方の生体仮面(ライブ・マスク)になっている(第二九章5)、と重要な訂正をした。

・・・次号更新【「家畜人ヤプー完結版(ミリオン出版)」より---沼正三】に続く

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