虚業家宣言:康芳夫

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虚業家宣言(18):『ボクシング協会』は札束で各個撃破

◆『ボクシング協会』は札束で各個撃破

あと残った、『日本ボクシソグ協会』が反対しているという問題などは、まるで赤子の手をひねるようなものだった。協会が私に反対しているのだって、要するにメンツの問題、それと自分たちのマーケットを荒されるという、金銭面での問題にしか過ぎない。札束で各個撃破すれば、手もなくなびくのはわかりきっていた。

金平氏には形式上のプロモーターとして、協栄プロモーションを依頼、しかも収益のうち五百万を『ボクシング協会』に献金するということで納得してもらった。あと二人の実力者・笹崎、中村両氏も金銭的に援助するということで了解を取った。

結局、一応十日後の総会に計ってから返事をするということにしてほしい、今まで反対を唱えてきて、そんなにすぐにOKを出したというんでは、それこそ協会幹部のメンツ丸ツブレだから、総会が済むまでは一応、反対の形を取らせてほしい、それが彼らの出した唯一の条件だった。

だから、当時スポーツ各紙が《またしてもクレイ戦デッド・ロックへ》などと書いていたのは完全に踊らされていたわけで、私は毎朝、記事を見てはおかしくてたまらなかった。記者たちが取材に来ると、私はいかにも困ったというふうに、金平氏の非を鳴らし、『ボクシング協会』の物わかりの悪さを嘆いて見せたりしたものだ。

四月二十八日、『日本ボクシング協会』総会が後楽園飯店で開かれ、クレイ戦は満場一致で認可された。

神さんと私は、秘かに祝杯を上げていた。

ついに私のホラは現実となった。”虚”は”実”に転じたのだ。思えば長い闘いの日々だった。快い酔いが私と神さんを包み込んでいた。

・・・・・・次号更新【徴兵通知ですべては無に・・・・・・】に続く

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