虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より
お坊ちゃん学校に入学(1)
父は自分が慶応幼稚舎出身だったので、私も幼稚舎に入れようとしたがなぜか落ちてしまった。子供の頃からけっこう、悪餓鬼だったようだ。そんな私は私立の暁星という学校に入学した。この学校は都内でも有数のお坊ちゃん学校だった。有名人の子息や芸能人の子供も多く、たとえば私が小学一年の時、四年生に歌舞伎役者の中村錦之助なんかがいた。当時、よく彼とも遊んだ記憶がある。
大人になってから、何十年ぶりに彼に会ったが、彼はすっかり忘れていた。しかし、写真などを見てその頃のことをなつかしく思いだしてくれたのを憶えている。
この暁星という学校はフランスのカソリック修道会系の学校で、本来はリベラルな校風で有名だった。しかし、当時、すでに太平洋戦争がはじまっていて、フランスは準敵国として監視されていたから、憲兵なんかが学校に来て校門あたりをうろついていた。フランス人の教師もいたが、もちろんフランス語もいっさい禁止で不思議な緊張感が漂っていたのを鮮明に憶えている。
・・・次号更新【『虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝』 official HP ヴァージョン】に続く
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かくて異形曲は鳴りやまず永遠に尽きぬ虚業への憧憬・・・・・・テンカウントはまだ聞こえない
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