”ノストラダムス計画”---はたして証明できるのか?

滅亡のシナリオ:”ノストラダムス計画”---はたして証明できるのか?

プロデュース(康芳夫)
ノストラダムス(原作)
ヒトラー(演出)
川尻徹(著)精神科医 川尻徹

「そうだとすると、ヒトラーをめぐるさまざまな謎が理解できてくる。中田君、第二次世界大戦とそれ以後の歴史は、ノストラダムスの予言を遂行したヒトラーによって動かされていたのだ!」

中田は川尻博士の結論に、ただ驚き呆れるばかりだった。なぜなら、これまでヒトラーについて、そんな観点から眺め、分析を加えた人間はいなかったからである。

もちろん、博士は、この山間の精神病院の一室で煙草をくゆらし、文献の山に埋もれながら瞑想し、こういった結論を得たわけである。何の証拠もない。言ってみれば仮説にすぎない。

(だが、それにしても、なんという壮大な仮説だろうか・・・・・・)

「でも、博士・・・・・・」、中田は疑問を口にした。

「博士の説によれば、ヒトラーは自分の作りあげた第三帝国やドイツ民族とともに、自分の身まで犠牲にしたということになりますね。だとしたら、彼の第四帝国建設の夢は、ベルリン没落とともに潰えたわけですね」

「違う。彼は第二次大戦の後も生き延びたのだ。一緒に彼も死んでしまっては、彼の第四帝国建設の計画ーーー”ノストラダムス計画”とでも呼んでおこうかーーーその計画は始まらない。その計画は第二次大戦が終わってからスタートしたのだが、ヒトラーはそれを見届けるためにも生き延びねばならなかったのだよ」

「ですが博士。歴史の上では、彼はベルリン陥落直前、自殺したことになっています」

中田の反論を川尻博士は鷹揚に受け止め、口を開いた。

「うむ。いまの歴史ではそうなっているな。しかし、ヒトラーはベルリン陥落後も生き延びて、”第四帝国”を建設すべく活動していたのだ。また、エバ・ブラウンをはじめ、死んだとされる大勢のナチ幹部も生きている!そうだよ。埋葬されたはずの彼らは”最後の審判”のまえに墓から出てきたのだ!私はそれらを証明することができる・・・・・・」

・・・・・・・・・次号更新【2章 ヒトラー総統は三人だった!ーーーベルリン陥落後、ヒトラー復活の操作が行なわれていた】に続く