虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より
迫りくる戦争の影(2)
当時、私たちが住んでいた町内会の会長さんがとても人格者で、「戦争中だからといって中国人に対して変な態度をとってはいけない」と町内の人たちや印刷工場で働く職工さんたちに、厳しく言いきかせていたらしい。しかし、やはり一部の人の力ではとうていこの時代の流れは食いとめようもなかったのだ。印刷工場に出入りする職人さんなどにもよく「チャンコロの餓鬼め!」と、殴りつけられた。気丈に立ち向かっていくが、やはりしょせんは大人と子供、壁まですっ飛ばされてしまう。そんな毎日の繰りかえしだ。こんないやな思いをしながら、さらに複雑な問題があった。
両親の祖国が日本と中国という二つの国に分かれているということなのだ。
・・・次号更新【『虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝』 official HP ヴァージョン】に続く
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五年越しの悲願−−−ゴングが鳴った瞬間、私はこの「夢のストーリー」は完結していた。アリをめぐって自分が闘ってきた数年間が、ふっと思いだされれくる。やはり人生そのものが芸術なのだ。
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