奇書「家畜人ヤプー」覆面作家はどちら?・・・読売新聞(昭和57年(1982年)10月2日)

覆面作家と名指しされた倉田氏は東大法学部を卒業後、司法試験に合格

覆面作家と名指しされた倉田氏は東大法学部を卒業後、司法試験に合格。二十六年の東京地、家裁判事補を振り出しに長野地家裁飯田支部判事補、最高裁調査官、札幌高裁判事、東京地裁判事、佐賀地家裁所長を経て、五十五年二月から東京高裁判事を務めている。

同氏は交通事故の損害賠償論の権威で、さる五月には、バスにひかれて死んだ坊やの損害賠償請求訴訟で、遺族への賠償額に将来の物価上昇の目減り分を上乗せするという画期的な「インフレ加算判決」を出した。著書に「民事交通訴訟の課題」「交通事故賠償の諸相」がある。

同判事は一日夜、東京高裁の山口繁事務局長に電話をかけ、「雑誌に私のことが載るが、私は絶対に関係ない。新聞社から名誉毀損で訴えるかと聞かれたので『上司に相談してから決める』と答えた」と伝え、著者であることを全面的に否定したという。

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『諸君!』昭和57年(1982年)11月号

『諸君!』昭和57年(1982年)11月号:衝撃の新事実!三島由紀夫が絶賛した戦後の一大奇書『家畜人ヤプー』の覆面作家は東京高裁・倉田卓次判事

彼から届いた一通の葉書には、こんなくだりがある。

<さて連絡場所の件、色々苦慮した末、近在の友人に頼んで受け取って貰うことにしました。内容が何かをその人に知らせずに、しかも開封されぬようにするため、親展の判を二つ(傍点沼氏)押すことと、発信人森下小太郎を明記すること、この二つをお願いします。倉田氏は親展判及び発信人名によって、私宛のものと認別して届けてくれることになっています。彼自身同居人なのですが、原氏自身は絶対心配いらない人とのことです。

(中略)

申すまでもありませんが、右は絶対極秘として、奇ク(奇譚クラブ=森下註)関係の御友人にも決して口外なさらぬ様して下さい。

倉田氏とはこの種のことに無関係のつき合いで、もしKK(奇譚クラブ=同)関係のこと分ると、その方に支障を来すおそれが多分にあるからです。・・・・・・>

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