拝聴 康芳夫先生「神を呼ぶ男」:Fukujin N0.11 2006

拝聴 康芳夫先生「神を呼ぶ男」・・・27

南 康さんの教唆を受け取る人はいないですね。僕が手先になって宗教関係に行けばいいのかな?

秋山 康さんもなんで次から次に教唆するんですか?

康 遊びだよ。

南 でも、僕は行きますよ(笑)。

櫻木 いちいち言うことが楽しい。

康 本当かよ。伸坊や櫻木は信用ならないからな。僕をおもちゃにして遊んでるな。

澁澤 松本健へさんがイスラム会議に呼ばれたそうですけれど、日本のイスラムはどんな感じになってるんですか?

康 ほとんど動きがないんじゃないですか?

秋山 だって康さんが動かないんだもん。動きようがない。

南 だめですよ。動かしたら危ない。

康 でも、伸坊が坊主になったらおもしろいな。本当になる気ならいいお寺かっぱらってくるよ。金ならある。

上杉 南さんならもうなくなった宗派とかいいかもしれない。

康 日本は毛唐の教義よりやっぱり仏教がいいよ。然し、いってみれば仏教ももともとは毛唐の教えみたいなもんだ。純然たる国産宗教ではないからな。朝食は毛唐のパンよりやっぱりお茶漬けがいい。

末井 キリスト教はわかりやすいんですね。わかっちゃうとハマっちゃうところもある。千石イエスとか。ちなみにイエスを逆さから読むとスエイになるんですよ(笑)。

康 作家で言えば、遠藤周作とか加賀乙彦とかいるじゃないですか。カトリックだけど。ああいうはまりかたもいいんだけど、やっぱりミスマッチという感じは否めない。無理があるね。遠藤の場合、最後にはキリストとか仏とか乗り越えたというか融合しちやったね。

秋山 末井さんは千石イエスの二代目になるべきなんです。

康 末井さんはなれると思いますよ。今は男がいないからおばちゃんが仕切ってるけど。

末井 質問、いいですか?お金の話なんですけど、康さんがやってるのはみんなフィクションですよね。なんで・・・・・・。

康 そういう世界に入ったかということ?それは初めからフィクションと思っているから。

末井 それはすごいですよね。生まれつき・・・・・・。

康 生まれつきかどうかは時代的なこともあるしわからないんだけど、僕の親は7歳のときに日本に来て医者になって。僕も精神科の医者になろうって気はあったんだけど、試験が難しいのでやめちゃった。

京大とかうちの医学部は難しい。さっきもお話したけれど、終戦のときに紙幣が紙くずになって、実体と思われていることでもおおよそフィクションだと肌でわかってしまった。そして、子どものときに新宿に行ってよく見ていたものが廃嘘と化した。子どものころ、親に連れられて買い物に行って、そのお店が空爆で突然影も形もなくなっちゃうわけでしょ?それは奇妙な気がしますよね。

櫻木 でも、同時代の人は同じ体験をしているわけですよね。

康 それは環境の問題だと思う。野坂昭如もそういうことを書いているけれど、僕は僕の感じ方がある。共通項はあると思います。

拝聴 康芳夫先生「神を呼ぶ男」:Fukujin N0.11 2006

・・・以上、拝聴 康芳夫先生「神を呼ぶ男」:Fukujin N0.11 2006 より抜粋

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