プロデュース(康芳夫)
ノストラダムス(原作)
ヒトラー(演出)
川尻徹(著)精神科医 川尻徹
”第三帝国公認預言者”だったノストラダムス(2)
「予言をよく読むと、ヒトラーは戦いに敗れて非業の死を遂げることになっている。途中でそのことに気づいた”実体”のヒトラーは、そんな運命を避けるために、予言どおりになるもう一人のヒトラーを作った---ということじゃないかな。それ以上のことになると博士の説は飛躍しすぎて、ぼくも追いつけなくなる・・・・・・」
K.H氏は聖書学、宗教学、またオカルト方面についても該博な知識を有している人物だ。その彼にしても、川尻博士の壮大な仮説には追いつけないというのだ。
ついていけないのは『週刊プレイボーイ』の編集部も同じだった。副編集長の福村をはじめ、大半の者が中田の説明を聞くと驚き、そして笑いだした。
「気違いじみてるよ。ヒトラーが、ノストラダムスの予言に沿って神の王国を築こうとした?考えられないぜ、そんなこと・・・・・・」
無理もない。
ヒトラーといえば、ヨーロッパ全土を悪夢のような戦火に巻きこんだ政治家だ。また、ユダヤ人絶滅命令を出し、六◯◯万人のユダヤ人をガス室へ送りこんで虐殺したという張本人である。ナチは邪悪の権化であり、ヒトラーには、”極悪非道”のレッテルが貼られている。その彼が、実は真摯なキリスト教信者だった---という説は、常識をひっくり返すものだけに、受け入れにくいのは当然だった。
「こんな説を発表したら、狂人だと思われてしまうな」
副編集長の福村は、川尻博士の主張を記事にすることに消極的だった。しかし、編集長は、逆に興味を示して、こう口をはさんできた。
・・・・・・・・・次号更新【思いがけないニュース---「遺体は影武者だった」】に続く