虎と空手武道家の死闘ショー:東京中日スポーツ(昭和52年1月6日)より抜粋

虎と空手武道家の死闘ショー(5):最強の空手家 VS. トラ

私も山元をにらみかえし、じっと彼の眼を見ながらこう言った。「本当か。そうか、よし、やろう。これは命がけの世紀の対戦だ。君が素手でトラと闘うなら三〇〇〇万円出そう。ただし、いっさいのインチキはなしだ。武器は何も持たず、素手で闘うのが条件だ。トラも本物で何も細工しない。死んでも補償はしないがいいか」。

当時の三〇〇〇万円はいまの一億五〇〇〇万円以上の価値があるだろう。彼が本気ならそれぐらいやってもいい。私は迷わず彼に提示した。そして彼は、ほんの一瞬の間を置いてから腹に響くようなドスのきいた声で即座に返答した。

「康先生、わかりました。やらせてください」。この瞬間、次の計画は完成した。「最強の空手家 VS. トラ」の命がけの死闘が決定したのだ。

・・・虎と空手武道家の死闘ショー:続く

虎と空手武道家の死闘ショー:東京中日スポーツ(昭和52年1月6日)