戦後最高のSM奇書「家畜人ヤプー」の覆面作家と名指しされた 東京高裁 倉田判事の空しい反論:週刊文春(昭和57年 10月14日号)

森下小太郎は、「家畜人ヤプー」の単行本を出版する都市出版社の矢牧一宏に対して、天野哲夫は沼正三ではないことを明言

森下小太郎は、「家畜人ヤプー」の単行本を出版する都市出版社の矢牧一宏に対して、天野哲夫は沼正三ではないことを明言したと論考に書く。

やがて、先の住所にあった「原正信」に森下小太郎は電話し、倉田貞二が、倉田卓次であること、佐賀の裁判所長であることを知る。

こうして、倉田卓次が、「民事交通訴訟の課題」という著書があるだけでなく、ローゼンベルク「証明責任論」の翻訳をしていることも知る。ドイツ語の本である。

そして、倉田卓次が、同人誌『世代』の編集長をしていた遠藤麟一朗の遺稿集に寄稿していることを知る。いうまでもなく、「家畜人ヤプー」の主人公の名前は、瀬部麟一郎である。

ここでも、天野哲夫の反論を述べておく。天野哲夫は、先にあげた『潮』で、レオポルド・フォン・ザッヒェル=マゾッホの代表作「毛皮を着たヴィーナスヴェヌス・イム・ベルツ」をあげ、Mといえばマゾッホ、と強調し、この主人公がセヴェリンであると反論するのである。

・・・次号更新【連載「沼正三」をめぐる謎 高取英】に続く

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