石ノ森章太郎らが描いた「家畜人ヤプー」全4巻が電子書籍に(2014年4月1日)

日本神話を脱構築する:畜権神授説・沼正三『家畜人ヤプー』と日本神話の脱構築:巽孝之・・・その16

III ヤプー立国EHS(イース)

ここで、国生みの両親たる神々がヤプーであることは象徴的に響く。それは、日本の起源神話そのものが、すでにして実体的ならぬ機能的な側面を備えていたという仮説を提出しているからである。

小島瓔禮氏は『日本の神話』(筑摩書房、一九八三年)の中で、イザナミ、イザナギの物語と通底する構造が東アジアから東南アジア、南太平洋地域や北米西海岸インディアンの諸文化に見られることを解説しているけれども、そのような人類学的分析の可能性が見出されることこそ、すでに「神が人間を造った」という神話自体を造り出さねばならない集合的無意識の本質を物語っているだろう。極端な話、「神が人間を造った」という物語が必要とされる民族において、神こそは最大の発明品(テクノロジー)であり、最高の家畜ではなかったろうか。その意味で、「八百万の神」が家畜人ヤプー八百万頭を指すのだという陳述には、日本的メタフィクションと同時に日本的機能主義としてのフォルマリスムの可能性が胚胎する。そこでは、西欧的一神教に典型的な実存的悲愴感は微塵もなく、増殖する神々の脱中心形式がかぎりなくパロディックな笑いを誘いつづけるにすぎない。精妙なるハード・サイエンス的知識を駆使して構築されたヤプー生産用バイオテクノロジー描写の妙味は、じつのところ、空虚なまでの形式化のみを享受しうる日本神話的イデオロギーと表裏一体のメビウスの環を成すものとして、発生しているのではあるまいか。

その意味で、ヤプー的な「猿」の比喩形象背後において、アルフレッド・ローゼンバーグ的修正主義進化論の言説網と日本的民俗学の伝承網が交錯している可能性を、排除することはできない。

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あれこそは戦後最大の傑作だよ。マゾヒズムの極致を描いたまったく恐ろしい小説だ #三島由紀夫

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