ネス湖怪獣国際探検隊

水中の視界ゼロ(2)

スコッチ・ウイスキー作りには欠かせないスコットランド特有のピート(泥炭)、これが湖に流れ込んでいるため、水はコーヒー色に濁り、ダイバーが潜ると積った泥が黒雲のように舞い上がって視界をさえぎる。三十メートルも潜ると視界はゼロになってしまう。一キロワットのサーチライトで照らしても、わずか二、三メートル先が薄ボンヤリ見えるだけで、これではネッシーがヌッと鼻先にでも現われてくれない限り見つけようがない。

しかも、ネス湖の湖底は、水際から約六十度の急角度で湖底最深部に落ち込んでいる。まるで暗闇のなかでスキーをしているようなあんばいで、危険このうえない。

水温は四度から◯度。潜水用のドライ・スーツを着ていても、寒くてしかたがない。一回、二十五分の潜水がギリギリの限界だった。

潜水隊長の杉内クン以下、実によくやってくれたものだと思う。

問題になった潜水艇は、とうとう間に合わなかった。当初、フランスのバチスカーフを借りる予定だったが、日程のやりくりがつかず、英国ヴィッカーズ社製のを借りることになっていたのだが、たまたま、その艇が事故を起こしたため、諦めざるを得なかった。ただし、あの視界の悪さでは、たとえ潜水艇が来ても、役には立たなかっただろう。

北緯五十七度のネス湖は極東で言うと樺太の最北端にあたり秋も深くなると、急に寒くなる。三十分おきに雨が降ってくることなどもしばしばで、私たちの行動は著しく制限されていた。

・・・・・・次号更新【水中の視界ゼロ(3)】に続く

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『虚実皮膜の狭間=ネットの世界で「康芳夫」ノールール(Free!)』

真の虚業家の使命は何よりも時代に風穴を開け、閉塞的状況を束の間でもひっくり返して見せることである。「国際暗黒プロデューサー」、「神をも呼ぶ男」、「虚業家」といった呼び名すら弄ぶ”怪人”『康芳夫』発行メールマガジン。・・・配信内容:『康芳夫の仕掛けごと(裏と表),他の追従を許さない社会時評、人生相談、人生論などを展開,そして・・・』・・・小生 ほえまくっているが狂犬ではないので御心配なく 。

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