虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より
赤い呼び屋(3)
もうこれは時効になって、知る人ぞ知る、という話なのだが、ガンで亡くなった池田勇人が死ぬまで知らなかったことが二つあった。一つは自分がガンに冒されていたという事実。家族は死ぬまで本人にガンを告げなかった。そしてもう一つが、神とソ連のパイプ役となったAがソ連のスパイだった、という情報だ。当時この情報をマスコミは察知していたが、事があまりにも重大なので、マスコミ首脳部が政府関係者との「談合」によりにぎりつぶしてしまったのだ。私が親しくしていたいまは亡き本田靖春は、当時すでに読売社会部の花形記者で、彼もこの情報をキャッチしていたが、それを記事にできずに、バーで飲みながら怒りをこめてボヤいていたのが目に浮かぶ。
彼は最後に公安当局の取り調べを受けるのだけれど結局、公安は政治的立場や自民党内の混乱を考慮してか、シベリヤ抑留中にソ連政府にいろいろな弱みを握られて協力をやむなくさせられた、という事情を配慮したことにして、事件を灰色決着で終わらせてしまった。真実は藪の中だ。
このAと神との関係も実は灰色だった。神彰も満州からの引きあげ組。おそらく、ハルピンかどこかでAとの接点があったにちがいない。とにかく神彰はあまりにのソ連に対して強力なコネクションを持っていたのだ。これが当時、神彰が「赤い呼び屋」「ソ連のスパイ」といわれた「裏の事情」である。
・・・次号更新【『虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝』 official HP ヴァージョン】に続く
---
哲学でも思想でも宗教でも人生論という側面を持っている。人生論そのものはけっこうだが、それがどういう方向性を持っているか、どれだけの深度を持っているか、そしてどれだけ自分の頭で考えさせる問題を提起しているか、それによってクオリティがまったく違ってくるのだ https://t.co/RyATjN30ET
— 康芳夫(国際暗黒プロデューサー) (@kyojinkouyoshio) November 19, 2020
---