虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より
KGB、上納金、裏の真実(2)
このことはさすがの私も全然気づかなかった。何か運転手にしては目つきの鋭い男だな、というくらいにしか思っていなかった。ましてKGBの幹部などと想像もしていなかったのだ。いやはや、このサーカス団はただのサーカス団ではなかったのだ。
日頃から読んでいるスパイ小説さながらに本物のKGBを目のあたりにして、内心、子供のように胸がわくわく興奮していたのを憶えている。こんなドラマの主人公のような気分を味わえるのも呼び屋という仕事ならではだ。
そして、共産国にありがちな「献金制度」はしっかりとついてまわっていた。表面上のきわめて安いギャラとは別に、当時の共産党やら社会党にいくら献金しろ、などといって友好諸団体への献金を要求し、さらには幹部に対する上納金もしっかりと請求していた。また、「目つきの鋭い運転手」などにもソニーのテープレコーダーや携帯ラジオなどの「個人的貢物」が送られた。この貢物も最初はテープレコーダーだったのが、時代とともにテレビや自動車に変わっていったのだ。当時、どれもソ連に持って帰れば宝物のようなものだった。
このように、「赤い呼び屋」と言われた神の仕掛けた興行は、同業者たちをも、さすが、とうならせるほどみごとなものだった。当時、ソ連などの共産国相手にこのような仕掛けができたのは神彰のほかにはいないだろう。もちろん、彼自身は思想的にも共産主義者では決してない。一介の相場師あがりの野心的興行師にすぎない。しかし、彼は一発勝負の興行という世界に強烈な執念を持っていた。まさに、その執念が思想信条を超えて、当時未知の国だったソ連との興行という発想をひらめかせ、金庫にあふれる札束を稼ぎだした、といってもよいだろう。
・・・次号更新【『虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝』 official HP ヴァージョン】に続く
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『ノアの方舟』発掘計画
— 康芳夫(国際暗黒プロデューサー) (@kyojinkouyoshio) December 9, 2020
昔の舎弟から、康芳夫にいい後援者になってもらっていると聴いてから半月も経たない間に、別のホテルのロビーで仲の良かったヤクザに偶然出喰わした。https://t.co/n1Sv64hh1v #康芳夫 pic.twitter.com/Fqkpxi1XES
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