奇書めぐる謎、一応の区切り・天野さん死去「ヤプー」作者も消える(京都新聞(2008年(平成20年)12月23日 火曜日)

天野哲夫死去のときの康芳夫のコメント

天野哲夫が、2008年1月30日に82歳で死去した時、共同通信配信で「京都新聞」「北日本新聞」などは、「奇書『家畜人ヤプー」作者の死」「奇書をめぐる謎、一応の区切り」と見出しで報じた。

「ヤプーの作者は誰かという論争は戦後文学史の中でもとりわけ謎めいているものの、天野さんの死で一つの区切りを迎えた。」とある。

というのも「ヤプー」作者の「全権代理人」を務めてきた康芳夫が以下のように述べたからである。

「沼正三と称された人物は、亡くなった。」

この共同通信配信の記事は、

〈その人物が亡くなった日が天野さんと同じことは認めるが、「言えるのはそれだけ」と、同一人物だとは明言しない。〉

と書き、謎めかして報じた。

月刊誌「諸君」での倉田卓次説にも触れたが、

〈倉田さんは平成十八年の回想記で作者「A」に「ヤプー」のSF的な部分のアイデアを提供したと明らかにしたが、作者であることはあくまで否定〉

とした。康芳夫の他のコメントは

「沼正三が亡くなったということでは納得できませんか?」

「ヤプーという作品は残った。そして私が断言しますが、今後、沼正三は永久に現れません」というものだ。

・・・次号更新【連載「沼正三」をめぐる謎 高取英】に続く

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