滅亡のシナリオ(32):ヒトラーは第二次大戦後も生きていた!(1)

『滅亡のシナリオ』:プロデュース(康芳夫)

プロデュース(康芳夫)
ノストラダムス(原作)
ヒトラー(演出)
川尻徹(著)精神科医 川尻徹

中田の心は、どんどんヒトラー生存説に傾いていった。ヒトラー側近の話では、この独裁者はひじょうに難解な人格を持っていたそうだ。もし、ダブルが二人もいたとすれば当然だ。また、ヒトラーはときどき、意外な場所、意外な時間に姿を現わし、アッと言わせたという。これもダブルがいればこそできる芸当ではないか。

「では、ほんものの、つまり実体のヒトラーはベルリン陥落後、どこに姿を隠したのですか。やはり、救出部隊の手によって南米へ逃亡したわけですか」

「そうじゃない。実体は戦後もベルリンに留まっていた」

川尻博士の言い方があまりにも断言的だったので、中田は思わずマジマジと顔を見つめてしまった。

「ベルリンに?ソ連と連合国が必死になってヒトラー捜索をやっていたのに、ベルリンに隠れていたんですか?」

「そうだ。どのようにして隠れていたか、それは後で教えよう。しかし、彼はベルリンに留まり、一九五二年に死んだのだ」

中田はまたまた呆気にとられてしまった。

・・・・・・・・・次号更新【ヒトラーは第二次大戦後も生きていた!(2)】に続く