真剣勝負から生まれた友情(1)
そのトニーが私の言う有力なコネだった。どうして私がトニーを知っているのか。それを書いておこう。
それは、クレイ戦で得た億に近い金の使途と関係があるのである。
私は生来、金というものは使うためにしか存在しないという考えを持っている男である。神田生まれのせいか”宵越しの銭”は持ちたくない性分なのだ。生まれてからこのかた、私名義の貯金通帳は持ったことがない(と言いたいところだが、仕事の必要上から一応、形式的には持っているが)。
それは、私が昭和十年代に生まれたことと関係があるのかもしれない。あの、戦中から戦後へかけてのあらゆる価値の転換する時代を経験した者にとっては、信ずるに足るものは何もないというのが本当なのではないか。
だが金というものは、私にとっては使う方が、稼ぐよりムツカシい。
さて、思いがけぬ大金を手にした私は、アメリカ人クレイで稼いだ金は、アメリカで使うべきだと殊勝なことを考えた。
「どうせアブク銭だ、バクチで使っちまおう」
私は大金を手に単身ラスベガスのカジノへ乗り込んだのである。
ところが、それまで私は知らなかったのだが、ラスベガスの賭博場では、ちゃんと賭け金の上限が定めてあるのだ。もちろん客のためを思っての規則なのだろうが、金を使っちまおうという私には、どうにもその規則が邪魔である。
二、三日ラスベガスにいたが、勝ったり負けたりで、いっこう金が減ってくれない。そう時間的に余裕があるわけではないし、私は困ってしまった。
すると、ラスベガスのカジノで知り合いになったイタリアの大金持が、耳よりな話を教えてくれたのである。
・・・・・・次号更新【真剣勝負から生まれた友情(2)】に続く
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『虚実皮膜の狭間=ネットの世界で「康芳夫」ノールール(Free!)』真の虚業家の使命は何よりも時代に風穴を開け、閉塞的状況を束の間でもひっくり返して見せることである。「国際暗黒プロデューサー」、「神をも呼ぶ男」、「虚業家」といった呼び名すら弄ぶ”怪人”『康芳夫』発行メールマガジン。・・・配信内容:『康芳夫の仕掛けごと(裏と表),他の追従を許さない社会時評、人生相談、人生論などを展開,そして・・・』・・・小生 ほえまくっているが狂犬ではないので御心配なく 。
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