虚業家宣言:康芳夫

二兎を追って二百万円損する(3)

もう一つは、テレビ放映権の問題である。

テレビ放映に関してはTBSがことのほか熱心で、私の方もTBSなら異存のあろうはずがなく、ほぼ決まりかけていた。売り値は、これも三千万円。

ところが、八月になって、突然、MBS毎日放送が某重役を通して、こちらに売ってほしい、買い値は三千五百万でという意向を伝えてきた。

私の方は、なにしろ金がない状態だから、五百万円でも高く売れるのは非常に望ましい。しかもTBSとはまだ正式に契約書を交したわけではない。私の気持は、MBSの方へ大きく傾いていった。

ところが、これがR企画のワナだったのである。R企画が、自分のところと親しいMBSの某重役と組んで打った大芝居だったのである。私は、そのことをMBS内の某重役反対派勢力の重役S氏の密告によって知った。

要するにMBSは、最初から本気で放映権を獲得する気はなかったのではなかろうか。金の力で私とTBSの関係を断ち切り、契約を不成立にさせる。そうしておいて、MBSの方は直前まで私を引っ張っておいて、最終的には私と契約しない。つけようと思えばいくらでも難クセをつけられる。そうすれば、康に大打撃を与えることができる。これがR企画の仕組んだワナだった。

「汚ない奴らだ」

たまたま、反対派の重役S氏と私が親しかったから難はまぬがれたものの、もし、S氏が知らせてくれなければ・・・・・・。私は全身の毛穴が開くような怒りを感じた。

結局、私はもう一度、TBSとの交渉を再開したわけだが、TBS側とて、ハイさようですかと言って、一度一方的に中断した交渉に応じてくれるものか。二百万値切られて、二千八百万で売ることになってしまった。

その後も執拗な妨害は続いた。敢えてR企画とは言わないが、トムの来日直前の一月になって、法務省に、「トム一行の中に麻薬常習者がいる」とタレ込んだ奴がいた。根も葉もないことだったから、いいようなものの、ちょうど糸山英太郎クンの呼んだローリング・ストーンズが、麻薬使用ということで来日が疑問視され始めた時期だったから、タイミングとしては、敵ながら心憎いばかりに冴えていると思ったものだ。この件では糸山英太郎クンとの間にも、一騒動あったのだが、そのことは後で書くつもりだ。

・・・・・・次号更新【入場料の高さで宣伝】に続く

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『虚実皮膜の狭間=ネットの世界で「康芳夫」ノールール(Free!)』真の虚業家の使命は何よりも時代に風穴を開け、閉塞的状況を束の間でもひっくり返して見せることである。「国際暗黒プロデューサー」、「神をも呼ぶ男」、「虚業家」といった呼び名すら弄ぶ”怪人”『康芳夫』発行メールマガジン。・・・配信内容:『康芳夫の仕掛けごと(裏と表),他の追従を許さない社会時評、人生相談、人生論などを展開,そして・・・』・・・小生 ほえまくっているが狂犬ではないので御心配なく 。

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