都市出版社版『家畜人ヤプー』(1970年発行)

沼正三死亡説の論拠の一つがこの加筆にあったらしいから、一言しておく:家畜人ヤプー普及版(都市出版社)より・・・7

沼正三死亡説の論拠の一つがこの加筆にあったらしいから、一言しておくが、前半と後半とで筆致が違うという意見が、もし、後半を加筆部分と見る意味で言われたのなら、不可解というほかない。本書第二七章までは既発表分であるし、末尾の一章だけは、未発表であったが、前記の経緯で編集部から返却されたことと、その梗概が、先の中絶に際しての読者への挨拶の一文に載っている。今回それを加えたのも、あらたな執筆ではない。安東泉氏が『えろちか』誌上で明らかにしたように、加筆はむしろ前半に多いのであるが、それは、書き進むに従い既発表分に手直しの必要を生じた、という連載形式に不可避の現象に過ぎず、その他、雑誌で stooler とあったのを今回 setteen と改めたのなど、すべて私の手になるので、文体の違いなどある筈がないのである。この普及版では、初版本に更に訂正加筆したが、これは、現在腹案として存する続篇執筆上の伏線のためで、やはり私が文責を負うものである。

・・・次号更新に続く