虎と空手武道家の死闘ショー:東京中日スポーツ(昭和52年1月6日)より抜粋

虎と空手武道家の死闘ショー:東京中日新聞(昭和52年1月6日 木曜日)

新しい格闘技の世界を拓く

資本主義が高度に発達し社会がスピーディーにシャッフルされ続けると、さまざまなところにある境界線が溶けてくる。

女性が男性的になったり、男性が女性的になったり、国の輪郭がぼやけてしまったり、文化も多種様なものが入り混じって新しい雑種スタイルの文化が生まれてきたりする。

格闘技の世界もそうだ。ボクシングや柔道や空手やレスリングといった垣根が取っ払われ、K−1、PRIDEなどの総合格闘技のブームが生まれた。

しかし、そんな総合格闘技すら想像もできないような三◯年以上も前に私はまったく新しいスタイルの格闘技を模索していた。

格闘技への強いこだわりは、モハメド・アリを呼んで試合をやったことが大きなきっかけとなったのだが、世紀のスーパースターの試合を実現してしまった身としてはそれ以上の試合をどうやってすればよいのかという新たな挑戦的課題を突きつけられていたのだ。

そんな流れから生まれたのが、アントニオ猪木とモハメド・アリの試合であり、アントニオ猪木とウガンダの大統領アミンの試合であり、空手の達人とトラとの闘いであった。

・・・以上、虚人のすすめ―無秩序(カオス)を生き抜け (集英社新書)より抜粋