『滅亡のシナリオ』:プロデュース(康芳夫)

プロデュース(康芳夫)
ノストラダムス(原作)
ヒトラー(演出)
川尻徹(著)精神科医 川尻徹

総統の代理人として歴史を動かす人物(2)

プロパガンダの天才・ゲッベルスとの出会い

「 ”西欧の最も深いところ” というのをオーストリアとして、これをヒトラーのことと解釈しているのだろうが、ゲッベルスもライン川にほど近いライトという工場町、いわば西欧の澱みの町で生まれた。ゲッベルスの父は織物工場の支配人とはいえ、かなり貧しい生活を強いられていたという。一方、ヒトラーの父は有能な税関史で年金生活をしていた。伝記を調べるかぎり、ヒトラーは貧しい人々の間から生まれてはいない。さらに ”若い子ども” という表現は、頂上に立つ人を指すのではなく、その下にいる存在を示す。そして、言うまでもなくゲッベルスの雄弁は有名で、ナチの宣伝相として彼が行った演説は日本にもアメリカにも響きわたった。 ・・・・・・ノストラダムスは、こうして、ゲッベルスが登場してくるのを予言していたのだよ」

「・・・・・・」

「最初の対面の時、ヒトラーはすでにナチ党の党首であり、ゲッベルスのほうは組織の末端にいる専従職員でしかなかった。それなのに、ヒトラーはゲッベルスをまるで旧友のように厚遇したという。彼は知っていたのだ。ノストラダムスの予言どおり、その弁舌であまたの人々を魅了する、フューラーの代理人として歴史を動かしてくれる人物がやってくるのを・・・・・・」

・・・・・・・・・次号更新【キリストの役割を与えられたゲッベルス】に続く