最初の家畜は人間だった
沼正三
ここに、三首の和歌を併記してみよう。『家畜人ヤプー』執筆の遠因を説く手がかりともなりそうだからである。
貧すれば鈍するとかや金持に
なりし日本は賢人ばかり
---曽宮一念『雁わたる』
あしざまに 国をのろひて言ふことを
今の心のよろどころとす
---釈 迢空『倭をぐな』
中年の男同志の「友情論」
毛ごと煮られてゐる鳥料理
---寺山修司『テーブルの上の荒野』
前二首は、愛国、愛国とやけに喧しい当世の風潮に対する反発と自己嫌悪、残る一首は金子みすゞの詩にも通じる人間呪詛、これらのものが通奏低音のようにマゾヒズムの概念の基底をなして欲する。
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月蝕歌劇団創立30周年記念『家畜人ヤプー』
月蝕歌劇団創立30周年記念(連続公演 第三弾)
2015年10-11月 月蝕歌劇団 ザムザ阿佐谷
第84回本公演
家畜人ヤプー
原作◎沼正三 脚本・演出◎高取英 音楽◎ J・A・シーザー
日本人が家畜人とされるイース帝国とは何か?
皮膚強化装置・尿洗礼・畜人犬
引き裂かれた恋人
麟一郎とクララの運命は?
2000年月蝕歌劇団によって
初めて演劇化され話題を呼んだ
戦後文学・最大の奇書
三十周年記念に三たびの上演!
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