虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より

虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より

助監督のアルバイト(3)

大学も、卒業が間近になると、まわりのみんなは就職のことで頭がいっぱいになってくる。しかし、私はべつに気にもとめなかった。もともと、ふつうのサラリーマンなど務まるはずがない。こつこつ働いて生きるのは私の性に合わないのだ。人間、働くために生きているのではない。楽しく有意義に生きるために働くのだ。だから会社という枠組みで働くなどというのは、私にとって苦痛以外の何ものでもない。

大学の五月祭を自分流に企画し成功させた頃から、私はプロデューサーという仕事に向いていると自覚しだしていた。これは高校時代に悪餓鬼を集めて稼いでいた頃から、漠然と感じていたのかもしれない。しかし、いまのように会社組織で整然と動く映画のプロデューサーやイベントプロデューサーというイメージではない。いろいろな人間たち、強面や裏社会の人物から著名人、社会的地位のある人間など、さまざまな人種がうごめく中を裸一貫で泳ぎまわり、時にはトリッキーな作戦で相手を煙に巻いたり、裏技を駆使して、無から有に物の形を整えていく。そんな仕事に、ある種の快感と興奮を覚えていたのだ。

・・・次号更新【『虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝』 official HP ヴァージョン】に続く

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