虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より

虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より

裏の処理係(2)

たとえば、京都で公演をする時は「京都新聞」に主催になってもらう。実際には名義主催と実質主催のふたとおりあって、当然、我々がひんぱんに実施したのは前者のほうだ。新聞社は実際にはお金も出さず何もしない。逆に我々が三パーセントぐらい、名義料を新聞社に払う。あとはすべて我々で仕切るのだ。会場を確保したり、ポスターを作ったりと細かなことまですべてこちらでやる。実質主催とは、新聞社と我々が折半で費用を撤雌する形式だが、このケースはほとんどなかった。

新聞社もめんどうくさいので簡単には了承しなかったが、私が粘り強く各社と交渉してこちらのペースで実現させていった。九州でやる時は西日本新聞、広島でやる時は中国新聞という具合に各地の新聞社と交渉していったのだ。

このように私が裏の世界の処理をこなしていくので、神はしだいと「裏の処理は康にまかせておけばいい」という雰囲気になっていた。私自身、高校時代から歌舞伎町のヤクザと闇市で取引をした経験があるし、この手の処理は決して苦痛にはならなかった。彼らとの独特のあうんの駆け引きも学生時代から身体で憶えている。ヤクザもしょせん人間である。むしろ、まともな社会人なんかでは絶対触れることのない興行の世界に流れる闇の部分を垣間見るようで、やっかいな反面、私特有の楽天的性格もあって彼らと「相性」が良く、それなりにうまくいったのだ。

・・・次号更新【『虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝』 official HP ヴァージョン】に続く

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