虚業家宣言:康芳夫

水中の視界ゼロ(3)

成果こそめぼしいものはなかったが、各国取材陣の活動は実に派手で、あれだけの取材陣、マスコミを、私たちに集中させたという点では、私は、この探検は大成功だったと思う。

地元イギリスはもちろん、アメリカ、フランス、イタリア、アルゼンチンなどからもワンサと押しかけて来た。プラウダまで来たのにはこちらの方が恐れ入った。来なかったのは『人民日報』だけ。

テレビ取材チームを満載したBBC放送やNBC放送の船が私たちの乗った船を追いかけて来る。

ダイバーの杉内クンたちが浮上して来るたびに、

「何か見つかったか?」

返事は判で押したように、

「ナッシング」

一度だけ、十一月初め、伊藤隊員と豊原隊員が潜水中、ネッシーの鳴き声と思われるものを聞いている。

十二、三メートル潜ったとき、カキーンという、バイオリンの高い弦を引いたような余韻のある音を聞いたと言うのだ。水中で物が落ちたりぶつかったりしても決して余韻は残さないものだから、この音は謎である。

そのほか、一度、ウナギを掴まえた。ウナギといっても、ちょっと日本のとはスケールが違う。直径五センチ、長さ八十センチという巨大なもの。これは早速、その夜、カバ焼きにして食ってしまったが、大味でうまくはなかった。

地元の人たちは実に素朴で親切だった。娯楽がほとんどないせいか、毎日、グラスゴー、アバディーン、エジンバラあたりから車を飛ばして見物に来る。

夜は夜でホテルに押しかけて来て、スコッチを飲みながら、ダンスをやったり、歌を歌ったり、新聞の書いた、冷たい感情などどこにも感じられなかった。

ネス湖現象調査委員会の連中も、私が五千ポンド寄付したことにもよろうが、実に協力的。ホテルに日参して資料を提供してくれたり、いろいろ便宜も計ってくれたものだ。

そういう意味ではむしろ、日英親善に役に立ったような形になってしまった。

・・・・・・次号更新【水中の視界ゼロ(4)】に続く

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『虚実皮膜の狭間=ネットの世界で「康芳夫」ノールール(Free!)』

真の虚業家の使命は何よりも時代に風穴を開け、閉塞的状況を束の間でもひっくり返して見せることである。「国際暗黒プロデューサー」、「神をも呼ぶ男」、「虚業家」といった呼び名すら弄ぶ”怪人”『康芳夫』発行メールマガジン。・・・配信内容:『康芳夫の仕掛けごと(裏と表),他の追従を許さない社会時評、人生相談、人生論などを展開,そして・・・』・・・小生 ほえまくっているが狂犬ではないので御心配なく 。

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