虚業商法十カ条:第四条『タイミングこそ命』
今でも思い出すと悔しくて眠れないことが一つだけある。私が手がけた仕事のうちで唯一の大失敗だった『インディ500』のことだ。
世界一の自動車レースを、インディアナポリスでやっているそのまま、日本で再現しようとした私の企画は、自慢するわけではないが、今でもすぐれたものだったと思っている。ネライ目としては良かったのだ。
それが、なぜああいう結果を招いたか、今の私には、その原因がハッキリわかっている。要するに早過ぎたのである。すでに日本もモータリゼイションの時代に突入しつつあったが、まだ、もう一歩浸透度が低かった。その判断を私が誤ったのである。少なくとも二年待って、『インディ』を持って来ていたら、大成功はまちがいなかったはずだ。
この件で、私はタイミングというものが、”虚業”にとってどんなに大事なものかということを、イヤというほど思い知らされた。
タイミングということについては面白い例がある。昨年、お家騒動で世間を騒がせた新日本製鉄の永野重雄対藤井丙午。結局、最後には藤井が身を引くことで手打ちが済んだことになっているが、常識的に考えて藤井が負けたことは明らかである。
なぜ藤井が負けたか。もちろん、いろいろな理由が重なっているだろう。だが、私は、一つには藤井がタイミングを読み誤ったことが大きいと思っている。
永野とのケンカに際し、藤井は、マスコミを自分の味方につける作戦をとった。これはなかなか賢明だった。ただ、藤井は、そのタイミングをまちがったのである。
藤井ははやばやとマスコミに登場し、名指しで永野批判をブチ上げた。これに対し永野は沈黙し続けていた。だから、一見、藤井が有利なように見えた時期もあった。だが、永野は黙ったまま、じっと藤井のやり方を見ていたのである。藤井にどれくらいの味方がおり、誰が藤井をバックアップしそうか、藤井のおしゃべりのなかから永野は敏感に読んでいたのである。
あのケンカで、藤井がもう少し自分の立場を固めた後でマスコミを動かしていたら、勝負はどうなっていたかわからない。藤井としては痛いミスをしたものだ。
・・・・・・次号更新【虚業商法十カ条:第五条】に続く
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