プロデュース(康芳夫)
ノストラダムス(原作)
ヒトラー(演出)
川尻徹(著)精神科医 川尻徹
エバ・ブラウンとヒトラーは血族だった!?(2)
川尻博士は家系図に描かれた三本の線の間に、それぞれ子どもを示す枝を描いた。つまり、博士は最初の妻との間に生まれた男の子を”ダブルB”−−−若くて長身、長頭のダブルと推定する。そして二度目の内縁の妻との間に生まれた女の子を、エバ・ブラウンだというのだ。
「すると、エバ・ブラウンは、ダブルのヒトラーであるアロイスニ世の娘であり、もう一人のダブル、アロイス三世の異母妹であることになりますね・・・・・・!」
中田はまた稔ってしまった。
−−−エバ・ブラウンが歴史の中に登場してきたのは、一九二九年一〇月のことである。エバは、”スポーツ好きのモダンで快活な、アメリカのジャズやミュージカル・コメディを好んだ、ぽっちゃり太った金髪娘”だったという。当時、彼女はヒトラーの親友である写真家、ハインリヒ・ホフマンの店で働いていて、そこで”おかしなちょび髭を生やした男の人”すなわちヒトラーと出会い、恋に落ちたことになっている。当時、エバは一七歳だった・・・・・・。
「この時、ヒトラーは日の出の勢いのナチ党を率いる党首だった。そこに現われたのが二十幾つも年下の少女、エバだったわけだが、私はそこに何らかの意図を感じるのだ。というのは、エバ・ブラウンの出自や家系については、アロイスニ世の隠し子同様、きわめて資料が少ない。ただ、姉と妹がいたことが分かっているだけだ。終始ヒトラーの傍にいて歴史的にも重要な役割を担った女性のことがハッキリ分からないというのは、どうも不思議ではないか。
しかし、彼女がアロイスニ世の娘で、実体ヒトラーの姪だとすれば、なぜ経歴がぼかされているかが分かる。アロイスや彼の子どもたちは、実体の遠大な計画を進めるために必要な駒だったから、その正体は明らかにできなかったのだ」
・・・・・・・・・次号更新【官邸地下壕で行なわれた”偽りの結婚式”】に続く