虚業家宣言:康芳夫

執拗をきわめた妨害(2)

Qプロダクションがまずやったのは、ゴードン・ミルズを籠絡し、契約相手を私からQプロダクションへ乗り換えさせようという手である。そのためにQプロダクションは、なんと、こちらの五割増のギャラを払うと言うのである。私との間で決めた二十万ドルですら法外なギャラであることは前にも書いた。その五割増といえば三十万ドル。狂気の沙汰である。

ボクシングにしろ、こういう歌手にしろ、日本は外人にとって、実にいい市場で、向こうの言いなりに払い過ぎるという批判が出始めた時期である。その折も折、つけもつけたり三十万ドルとは。これが、ふつうの契約であれば、ゴードン・ミルズは、なんとかかんとか、難クセをつけて、私との契約をキャンセル、Qプロダクションに乗り換えただろう。十万ドルも違えば誰でもそうする。だが、今度に限っては、中に立った人物が悪過ぎた。トニーの威光が、ここでも十分に輝いたのだった。

第一の手が失敗したとみると、Qプロダクションはすぐに作戦を変えたらしい。ゴードン・ミルズ宛、私に関する悪い情報を、あることないこと、手紙や電報で知らせ始めた。康芳夫は一発屋である。康芳夫の信用はゼロである。康芳夫には資金力がまったくない。康芳夫は台湾人であり、日中国交回復と同時に台湾に強制送還されることになっている、などという中傷まであった。後で書く十二万円の入場料に関しても、これではトムの名誉に傷がつくという意味の電報を打っている。

なぜ私がそれらの電報や手紙の内容を知っているかというと、ミルズは逐一、私に知らせるとともに、現物を一つ一つ回送してくれたからである。

もちろん、これらのすべてをQプロダクションがやったものだと断定はしない。匿名のものも多かったから。だが、少なくとも、この世界の人間だということは、その手紙や電報の内容から判断してまちがいない。

・・・・・・次号更新【二兎を追って二百万円損する】に続く

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『虚実皮膜の狭間=ネットの世界で「康芳夫」ノールール(Free!)』真の虚業家の使命は何よりも時代に風穴を開け、閉塞的状況を束の間でもひっくり返して見せることである。「国際暗黒プロデューサー」、「神をも呼ぶ男」、「虚業家」といった呼び名すら弄ぶ”怪人”『康芳夫』発行メールマガジン。・・・配信内容:『康芳夫の仕掛けごと(裏と表),他の追従を許さない社会時評、人生相談、人生論などを展開,そして・・・』・・・小生 ほえまくっているが狂犬ではないので御心配なく 。

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