二兎を追って二百万円損する(1)
それでも、結局、トムが私の手によって日本へ来るということが、既定事実化してくるにつれ、Qプロダクションの妨害は、ますます露骨になってきた。
Qプロダクションが次に考え出したのは、国内でトムの公演が成立しないようにするということ、つまり、私がトムを日本へ呼ぶのは、もうどうしようもない。それなら、日本でトムの公演を開けないようにしてやればいいだろうというものだった。
それが、いかに卑劣で、呼び屋の風上にもおけない手口であったか。二つのケースをあげておけば十分だろう。
まず、『ラテン・クォーター』の場合。
トムの来日が決定したとき、私がまっ先に引き受け手として考えたのは、赤坂のナイトクラブ『ラテン・クォーター』の山本信太郎社長だった。旧知だということもあったが、店の格といい、雰囲気、これまで訪日した大物アーチストはほとんどが『ラテン』に行っていることといい、『ラテン』なら申し分ないと思ったからだ。
一も二もなかった。私が話をする前に山本社長は、もうトム・ジョーンズ訪日のことを聞き知っていた。まだ、私がマスコミに発表する以前のことである。
「もうすぐ来るんじゃないかと思ってたよ。もちろん、うちでやらせてもらおう」
開店十五周年記念として、日頃のお客様へのご恩返しとして、これは採算度外視でやりたいと思っていた、山本社長はそうつけ加えた。
・・・・・・次号更新【二兎を追って二百万円損する(2)】に続く
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『虚実皮膜の狭間=ネットの世界で「康芳夫」ノールール(Free!)』真の虚業家の使命は何よりも時代に風穴を開け、閉塞的状況を束の間でもひっくり返して見せることである。「国際暗黒プロデューサー」、「神をも呼ぶ男」、「虚業家」といった呼び名すら弄ぶ”怪人”『康芳夫』発行メールマガジン。・・・配信内容:『康芳夫の仕掛けごと(裏と表),他の追従を許さない社会時評、人生相談、人生論などを展開,そして・・・』・・・小生 ほえまくっているが狂犬ではないので御心配なく 。
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