虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より

虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より

懸賞論文に入賞(1)

高校二年生の時、ひそかに懸賞論文にも挑戦した。当時、立命館大学の末川博学長が主宰して募集した懸賞論文だった。テーマは「国際平和」。当時はまさにソ連がはじめて水爆実験を成功させた、米ソ冷戦まっただなかという時代だ。私は、ソビエトの言いぶんも正しいし、アメリカの判断も間違っていない、この両国の主張をいかに調和させるか、という非常に現実的な問題に論点を絞って書いた。それこそその後、私と同世代の国際政治学者として著名になった高坂正堯の一足先を行く、いわゆる「新現実主義」のはしりといってもいいだろう。

我ながら、鋭い時代洞察力があった、といまでも自負している。どちらか一方にシフトしてしまうのではなく、相反する二つの政治権力に対するバランス感覚の重要性をこの頃から感じていたのだ。まさに、この感覚はプロデューサー業には不可欠な感覚だ。いま振り返ると、この頃から、私の将来の萌芽があったのかもしれない。

・・・次号更新【『虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝』 official HP ヴァージョン】に続く

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虚業家一代 康芳夫(1):ロス五輪「30年目の真実」上(日刊ゲンダイ、2014年(平成26年)2月11日より)

伝説の暗黒プロデューサー康芳夫、降臨。マフィアに殺されかけた猪木アリ戦ほか、昭和のウラ歴史を激白:アリ×猪木戦の裏側で繰り広げられたアメリカンマフィアとの交渉

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