プロデュース(康芳夫)
ノストラダムス(原作)
ヒトラー(演出)
川尻徹(著)精神科医 川尻徹
プロパガンダの天才・ゲッベルスとの出会い
「いやあ、驚いたね。まったく不思議なことじゃないか。われわれが、こういった話をすすめている時に、タイミングよく『ヒトラーの遺体は影武者だった』という報道がなされるとは・・・・・・」
院長室で中田と会った川尻博士は、新聞の切抜きを手にして上機嫌であった。
「では、ヒトラーが第二次世界大戦から今まで、ノストラダムスの予言に依って歴史を動かしてきた−−−という博士の説を、実際の歴史に沿って説明してください」
ピースの紫煙をくゆらしながら、しばし瞑想するように宙に目をやっていた精神科医は、やがてゆっくりと話しだした。
「前にも言ったように、ヒトラーは青年時代に啓示を受け、自分は新しい時代の人類を率いるフューーラーだと思うようになった。そして、おそらく『我が闘争(マイン・カンプ)』を書くまでに、ノストラダムス予言の秘密に気がつき、彼なりのシナリオを作りあげていたはずだ。だが、それによって歴史の歯車を回しだしたのは、一九二五年一一月四日のことだ」
「その日に、何が起こったのですか?」
「ヒトラーとゲッベルスが初めて顔を合わしたのだ」
「え? ゲッベルス・・・・・・?」
・・・・・・・・・次号更新【プロパガンダの天才・ゲッベルスとの出会い(2)】に続く