虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より

虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より

コミッションかせぎ(3)

そして、この成功で味をしめた私は、次に「学内問題粛正委員会」なる団体をでっちあげた。入学した頃私のまっ赤なチャイニーズドレスに文句をつけた空手部の猛者を何人か引きつれて、同じように「東大出版部」やサークルをまわる。うしろにずらっと並んだ空手部員がにらみをきかせる前で、同じように、「学生が民間企業と同じような事業をしてはいけない。学生に還元すべきだ」とか「君たちの会の経理状況に不正な問題があったと密告を受けた。ことの次第によっては立ち入り検査をする」などと言って、青ざめた顔で冷や汗を流している会の幹部連中から強引に受け皿の委員会に寄付させる。そして、そこからまた私がマージンをいただく算段だ。

「学内問題粛正委員会」とは我ながらよく名づけたものだが、これはもう一種の恐喝のようなものだ。企業にいろいろとわけのわからぬ文句をつけ、現金を要求する暴力団と大差ない。

しかしながら、当時の私は何ら悪びれることもなくさらなるターゲットに目をつけていた。それは、毎週週末に開かれるダンスパーティーだった。これは、安田講堂の地下にあった第二食堂を週末だけホールに仕立てて開かれるパーティーだ。

・・・次号更新【『虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝』 official HP ヴァージョン】に続く

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あの素晴らしきキワモノ 大金を投じたイベントから生まれることはない発想! 月本裕(作家):SPA!(1991.11/27)より

昨今、スポーツイベントやらコンサートやらは、すべて大手広告代理店の仕切る冠付きになっしまい. 、必然的に面白くないものばかりが氾濫している。

昔は違ったよなあ、なんだか怪しいけどとてつもなく面白いイベントがあったじゃない。いったい何考えてんだろうというブッとびネタで、多額のお金とたくさんの人、そして組織を動かしてしまう、お騒がせイベント。代理店の仕切りでは出てこない、奇抜にして血の通ったアイデアがそこにはあった。ひとつの強烈なパーソナリティが仕掛けた、本質的に個性的なものが、それらのイベントにはしっかりと存在したのだ。

そのパーソナリティの中でも、とびきり危なく、怪しく、面白かったのは、謎の呼び屋、当代一の虚業家と呼ばれた康芳夫である。

あの素晴らしきキワモノ 大金を投じたイベントから生まれることはない発想!

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